2009年12月10日木曜日

Andrew "Test" Martin氏 の死について、幾つかのメモ

 ESPN.com が、数ヶ月前に亡くなった Andrew Martin 氏の脳が、Chris Benoit が患っていた CTE (chronic traumatic encephalopathy)の状態になっていたと報じました。
URL: http://sports.espn.go.com/espn/otl/news/story?id=4724912
ベノワの脳の分析を行なった Omalu 博士が、テストの脳も分析し、ベノワと同様にアルツハイマーの患者の脳に近い状態になっていた、ということを発見したそうです。
 (CTE は簡単に言うと、ボクサーでいうパンチドランカーと呼ばれる状態のことです。ベノワのCTEに関する動画をニコ動に字幕つきでupっていますので、未見の方は是非ご覧ください。短い方ので良いので。)


 これに対し、WWEは、次のようなコメントを発表したそうです。

While this is a new emerging science, the WWE is unaware of the veracity of any of these tests, be it for Chris Benoit or Andrew Martin. Dr. Omalu claims that Mr. Benoit had a brain that resembled an 85-year-old with Alzheimer's, which would lead one to ponder how Mr. Benoit would have found his way to an airport, let alone been able to remember all the moves and information that is required to perform in the ring. WWE has been asking to see the research and tests results in the case of Mr. Benoit for years and has not been supplied with them.

↑これに対する自分の感想としては……
 研究の資料については、peer-review(同分野の研究者が審査を行なうこと)の医学雑誌に掲載されているそうなので、そっちをまず見るべきじゃないかと思います。素人が理解できるようなものじゃないと思いますけど。
 また、脳が85歳のアルツハイマー患者の脳に近い状態になっていたとしても、廃人状態になるとは限らないんじゃないかと。別の研究で、キリスト教の尼さんたちの死後の脳の調査をしたところ、アルツハイマーの患者のような脳の状態になっていたにも関わらず、正常な生活をおくれていた尼さんたちがいて、彼女たちは外国語の卓越した能力を持っていた、というような結果が出たことがあります。脳は駄目になった部分を他の部分が補うことができるので、この尼さんたちの場合は、外国語に使われる脳の部分が発達していたおかげで、駄目になってしまった他の部分を補って機能できていたのではないかという話。
我々も英語等の外国語を使う部分の脳を発達させておけば、老後、元気に暮らせる確率があがるのかもしれません……っと、話がそれました。
 それに、ベノワの場合、破壊されていたのは感情のコントロールを司っている部分、という話でしたので。日本でも、お爺さんが些細な理由で子供や孫を殺すような事件が起きていて、自分は「この人の脳の検査をしてみるべき」と思うんですが、こういうお爺さんは感情のコントロールは出来ないけれど、日常生活は送れていたわけなんですよね。"dementia" 「痴呆」とか「認知症」と言っても、必ずしも日常生活が送れなくなるわけではないでしょう。
 
 でも、WWEが文句をつけるだけで何もしてないわけではないと、一言、かばっておきたいと思います。
エディ・ゲレロが亡くなった後、WWEではWellness Policy を確立し、循環器系の検査をするようになりました。これで、MVPの心臓疾患が見つかり、治療が行なわれたことはよく知られていると思います。
ベノワが亡くなった後は、脳震盪の後遺症の検査も行なわれるようになっています。
ちなみに、少なくとも脳震盪後遺症の検査は、ステファニーが発案し、やるようになったことです。(米国議会のなんとかという委員会に呼ばれたときに、そう証言していました。)
 
 Jim Ross の最新ブログから、「もしかして、この記事への反応かも?」というところをコピペ。

Concussions are a big issue in sports today and let's not forget that pro wrestling/sports entertainment or whatever in the hell one wants to call it doesn't have the franchise on this dilemma. However, chair shots to the skull should be forbidden in wrestling. Period. End of story. Bottom line.
今日、脳震盪は様々なスポーツにおいて大きな問題です。プロレス業界は(プロレス、スポーツエンターテイメント、呼び方はどうでもいいですが)、この脳震盪のジレンマについて決定権があるわけではありません。
が、プロレスにおいて、頭部への椅子攻撃は禁止すべきです。 駄目。絶対。
* 脳震盪のジレンマ: 「客を楽しませるための激しいプレイ←ジレンマ→脳震盪による選手へのダメージ」と解釈します。プロレスに限ったことではなく、むしろNFLの方で大問題。

 ちなみに、ハンターは、椅子攻撃を受けるときは、ほぼ必ず前方からで、実は手でかばって頭への直接打撃は受けていない場合の方が多いです。それでも、瞬間的なことですから、頭に攻撃されたように見えます。どうしても頭を殴っているように見える場面が必要だったとしても、頭を殴っているように見えさえすれば、実際に頭を殴る必要はない筈です。(演技が下手な奴はどうするかって? カメラアングルと編集で、なんとかしろ。でなきゃ、スポットを変更すればよいだけ。)
 ニコ動なんかでは、たまに「当たってないしwwwwwwwww」みたいなコメントをする人がいますが、そういうのを見ると自分は、9割→「当てる必要なんてねーんだよ!」、1割→「カメラマン、何やってんの? カメラアングル悪いよ!」 って感じになっています。


 ESPNの記事の中で触れられている "The Circus: Live Free, Die Young" というプロレスのドキュメンタリー映画。Coming Soon (まもなく公開)と言われて久しく、以前あった公式サイトも消えちゃったような気がするんですがw とりあえずトレイラーはこれ: http://www.youtube.com/watch?v=fbidat0wiJY

 ESPNの記事の中で、最後にウマガの死についても触れられています。抑鬱状態が見られた、とドーン・マリーが証言しているようですね。はっきりさせるためにも、検査をしてもらいたいところですが、遺族の判断するところですので、何とも言えません。ノウィンスキーが今頃電話しているような気もしますが。
 ウマガの追悼式は、12/18に身内だけで、12/19に一般人も参加できる形で行なわれるそうです。

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